風に舞う桜が美しい、インドM10とアーバングレーのお墓。都立多磨霊園

東京全域で、お墓のお仕事をさせていただいています石誠メモリアルサポートの松本です。多磨霊園にて、風に舞う桜が美しい、インドM10とアーバングレーのお墓を建立させていただきました。

 

多磨霊園 2.5㎡ 新規建墓
石塔・墓誌材・板材の一部:インドM10  外柵材:インドアーバングレイ

 

「多磨霊園にお墓を建てたい」とお電話でお問い合わせをいただきました。名義人はお母様で、その娘様がお母様に代わってご連絡くださいました。近くにお住まいの方でしたのでお迎えにあがり、ご一緒に多磨霊園まで現地確認に向かいました。

 

こちらが今回お墓を建てる場所です。2.5㎡の広さがあり、右側以外はすでにお墓が建てられています。弟さんもおられましたが離れて暮らしていらっしゃるそうで、お墓作りは娘様が中心となって進められていました。ご希望としては、「広々したお墓にしたい」ということをとにかくおっしゃっていて、囲いがなく開放感があることや、車いすで入れるようにすることもご希望でした。ご希望に沿ってご提案を差し上げて、建立工事をお任せいただきました。

 

工事の様子です。まずは基礎工事のため床掘りをしたところです。

 

掘り下げた場所にグリ石を敷き詰めました。

 

ランマ―という機械で転圧して地固めをします。粒の細かい砕石もあわせ、2種類の砕石を入れています。

 

配筋です。寸法やカロートの位置などからピッチを割り出して10ミリの鉄筋を組んで、完成したコンクリートの中心に来るようにコンクリートブロックで高さを調節します。

 

コンクリートを打って養生期間を経て基礎が完成し、外柵の階段石などの据え付けが始まりました。今回外柵に使用したのはインド産のアーバングレーという石です。比較的廉価でありながら圧縮強度や吸水率が低く、とても品質の良い石です。お墓は長い間お参りするものなので、色染みなどが少ないものをご提案して気に入っていただけました。

 

カロート部分です。こちらもアーバングレーで製作しています。カロートの底は土残し部分です。左右の砂利がある場所はこのあと石貼りをして仕上げます。昔は土を入れて石貼りをしていましたが、砂利にすることで強度も上がり、万一水が入った時も排水しやすくなります。

 

納骨室の底はこのように、板石を取り外すと土残しが現れるようになっています。

 

底板を設置するとこのように仕上がります。納骨室は、7寸のお骨壺であれば横に3つ、縦に4つの計12個を納めることができる大きさです。将来納骨室がいっぱいになれば、底の石を取り外して土残しの部分に還すことができます。

 

納骨室の上にお墓の一番下の芝台を設置します。強度面からも一枚ものとしています。

 

芝台の上に棹石を設置、花立や墓誌も据えました。あとは手前の敷石を据え付けて完成となります。

 

完成したお墓です。桜の花が印象的な、上品でとてもすてきなお墓に仕上がりました。お客様のご希望だった解放感を大切に、お掃除のしやすいスッキリとした造りを心掛けて設計しました。

 

通常の洋型墓石は棹石がもう少し立ち上がっていて角度がついていますが、こちらのお墓はご希望で海外の墓地に見られるような緩やかな角度にしました。そうすることで開放的な雰囲気がさらに増しています。

花立と香炉も、ご希望でひとつの石をくり抜いて製作しています。通常、それぞれが独立していると花立と香炉の間にはどうしても隙間ができてしまい、長い年月で隙間に土やごみが入ってしまうこともありますが、隙間がないためそうしたお手入れも必要ありません。

 

お墓手前の敷石には、両脇に桜の枝がデザインされています。花立の前面に桜の花が彫刻されていて、そこから花びらが舞うようなイメージです。お客様にご希望のイメージを伺って、それをこうした形にしてご提案すると、「まさにこうしたかった!」ととても気に入っていただけました。そこから花を増やしたりといった調整を加えてデザインが決定しました。この部分には黒御影石を使用したので、色を入れない素彫りでも花びらの細かいところまでくっきりと鮮やかに感じられます。

 

棹石はこのようになっています。棹石の背面の高さは最後の最後までよく考えられて、少し角度がつくように高めにしました。より文字が見やすくなり、花立とのバランスもお考えになったようです。スッキリしているのでお掃除もしやすくなっています。

 

墓誌は外柵に埋め込む形で設置しました。全体の形状は棹石等とあわせてスクエア型していますが、角の部分はわずかに面をとって仕上げました。通路から車いすで入れるようできる限り段差も小さく設計し、水が溜まらないように施工しています。

ご納骨にはたくさんのご親族様がお越しくださいました。皆様にとても喜んでいただくことができて、「一緒に写真を撮りましょう」と、お墓の前での記念撮影に私も加えていただきました。後日お声も寄せてくださり、本当に大変お世話になりました。今回のお客様は石橋を叩いて渡るように本当に慎重に進められる方でしたが、お話しするうちに、どういうお墓を作りたいと思われているかが私にも少しずつ見えてきて、真剣にやり取りをしながらもその過程を楽しみながらお手伝いをさせていただくことができました。お墓作りでいつも感じることですが、「お客様とご一緒に共同作業で作り上げた」ということを特に強く感じたお仕事になりました。ありがとうございました。